参考資料 Part2

オフライン

  • エリック・バーナウ『世界ドキュメンタリー史』(風土社)1978

=Erik Barnouw, Documentary. A History of the Non-Fiction Film, Oxford University Press 1974

Documentary: A History of the Non-Fiction Film

Documentary: A History of the Non-Fiction Film

  • ポール・ローサほか『ドキュメンタリー』(未来社)1995

ドキュメンタリィ映画

ドキュメンタリィ映画

  • 作者: ポールローサ,リチャードグリフィス,シンクレアロード,Paul Rotha,Richard Griffith,Sinclair Road,厚木たか
  • 出版社/メーカー: 未来社
  • 発売日: 1995/10/01
  • メディア: 単行本
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  • Paul Rotha in collaboration with Sinclair Road and Richard Griffith, Documentary Film, Faber and Faber 1952

Documentary Film

Documentary Film

  • リチャード・メラン・バーサム『ノンフィクション映像史』(創樹社)1984

ノンフィクション映像史 (1984年)

ノンフィクション映像史 (1984年)

  • Richard Meran Barsam, Nonfiction Film; A Critical History, MacCann 1973

Nonfiction Film: A Critical History

Nonfiction Film: A Critical History

ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈上〉

ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈上〉

ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈下〉

ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈下〉

  • 土本典昭『映画は生きものの仕事である—私論・ドキュメンタリー私論』(未来社)2004

ドキュメンタリーは嘘をつく

ドキュメンタリーは嘘をつく

  • 原一男『踏み越えるキャメラ—わが方法、アクションドキュメンタリー』(フィルムアート社)1995

参考資料 Part1

凡例

  • はてなダイアリーの日付が作品の制作年である。見出しに続いて「作者名『作品名』制作国」である。日本以外の制作であれば、日本語表記の「作者名『作品名』制作国」である。次行は、外国語表記の「作者名,作品名(イタリック),制作国」である。
  • 日本語表記の作者名、作品名、制作国、制作年は、エリック・バーナウ『世界ドキュメンタリー史』(風土社)を参考にした。ただし例外もある。例えば、Robert J. Flahertyは、前書ではフラハーティであるが、本サイトではフラハティで表記している。
  • 外国語表記の作者名、作品名、制作国、制作年は、IMDb - Movies, TV and Celebrities - IMDbを参考にした。
  • GoogleVideoやYouTubeで作品が鑑賞可能であれば、動画を登録している。不可であれば、その他の鑑賞可能なサイトにリンクしている。またAmazon.co.jpその他で作品が購入可能であればリンクしている。

はじめに

このサイトは、はてなダイアリーを利用して、年代順にドキュメンタリー*1作品をアーカイブしています。個人的なメモ代わりのサイトですが、万が一私以外の誰かに役に立つことがあれば幸いです。

*1:ドキュメンタリーとは何かという問題があります。このサイトの目的の一つは、アーカイブの構築を通して、その問題について私が考察することです。

ドキュメンタリーの歴史 Part1

はじめに

筆者は、ドキュメンタリーの研究者でもドキュメンタリーの制作者でもありません。ただのドキュメンタリー好きです。ここでは素人がエラソーにドキュメンタリーの歴史について書いていますが、私なりに下記の参考資料をまとめただけですので、異論や間違いがあるかもしれません。その場合は、コメント欄やメールで教えていただけるとありがたいです。

ドキュメンタリーの始まり

1895年12月28日、フランスのリヨンにおいて、リュミエール兄弟のフィルムが一般にスクリーン上映される。彼らのフィルムは、実際の出来事(駅に到着した列車、工場から出てきた人々など)をシングルショットで捉えたものであった。ドキュメンタリーを事実に基づいた記録*1とするならば、彼らのフィルムはドキュメンタリーである。ただし彼らのフィルムには、出来事の再現や演出もあることに注意したい。よって、この日はドキュメンタリーの始まりの日といえる。しかし正確にいうならば、その当時ドキュメンタリーという用語は生まれてもいない(詳しくは後述)。ちなみに彼らは、自身のフィルムを活動写真(シネマトグラフ)と呼んでいた。

動画をDMMで観る

ロバート・フラハティ

フラハティは、ドキュメンタリーの父と呼ばれている。1922年に公開された『極北のナヌーク』は、探検家であったフラハティが極北のカナダに住むイヌイットの生活を記録したものであった。当時、流行していた紀行映画と異なり、フラハティはイヌイットのナヌークとその家族の生活のなかの出来事一つ一つの記録にこだわった。そのため、既に行われていなかった、もりを使用したセイウチ狩りの再現もしている。またナヌークと暮らしながら、撮影したフィルムを一緒に鑑賞することもした。そうすることで次回の撮影は一段と良くなり、二人の濃密な関係性がフィルムに映し出されることになった。現在でも、私たちはナヌークたちの生活に共感することができるし、フラハティの記録の在り方に学ぶことも多い。

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極北の怪異 (極北のナヌーク) [DVD]

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映画真

『極北のナヌーク』が公開された同じ年、ソヴィエト連邦のニュース映画制作者のジガ・ヴェルトフは『映画真』(キノ=プラウダ)シリーズを始めた。それは、歴史的事件の再現をするニュース映画や、事件を劇的に演出する劇映画と異なり、モスクワの出来事やモスクワ市民の日常生活をありのままに記録したものだった。その記録に対して彼は、字幕、モンタージュ、スローモーションなど多彩な手法を使って映像としての意味を与えている。彼の映画は、社会主義の理念や労働者の現実を市民に伝えるという当時のソ連映画の使命を果たしていた。その後、彼は、人間の眼ではなくカメラの眼によってはじめて捉えられる生活を主題にした実験的な作品『カメラを持った男』を制作する。ヴェルトフは、ニュース映画から出発してドキュメンタリーの可能性を拡げたといえる。

  • ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』ソ連

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マイケル・ナイマン カメラを持った男 [DVD]

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英国ドキュメンタリー運動

1926年、批評家であったジョン・グリアスンは、フラハティ『モアナ』を評する際にドキュメンタリーという用語をはじめて使用する。当時ハリウッドで流行していた、スターがスタジオセットでシナリオに基づいて演技する劇映画と区別する必要からである。彼は、生の現実を記録したフラハティを激賞する一方で、フラハティの記録が遠方の人々や昔の生活に集中していることに不満であった。彼はソ連映画の『戦艦ポチョムキン』にも影響を強く受けていて、労働者の現実を市民に伝えるという使命から、フラハティが現実を十分に伝えていないと批判したのだ。その後、彼は自身の作品、イギリスのにしん漁労働者の生活を記録した『流網船』を制作した。その成功のもと、イギリス国家支援下で広報のためのドキュメンタリーを制作するプロジェクトを彼は立ち上げる。そこではフラハティやアルベルト・カヴァルカンティといった海外の制作者がプロジェクトに参加したように人的・技術的な交流が盛んであり、彼プロデュースで『夜行郵便』『セイロンの歌』などの数多くの傑作が生まれた。これら一連の動きを指して、英国ドキュメンタリー運動と呼ばれている。ドキュメンタリーの歴史において、ドキュメンタリーという用語を生みだし、今日私たちがイメージするドキュメンタリーの原型を創りだしたグリアスンの存在は大きい。

  • ジョン・グリアスン『流網船』イギリス

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芸術ドキュメンタリー

映画の誕生は、写真家や画家といった芸術家に大きな刺激を与えた。1920年代の芸術は、自然のなかの人間ではなく、人間が作りだしたものに焦点を当てていた。人間が作りだしたものとは、あらゆる機械のことであり、機械によって構築される都市のことであった。それらを表現するために映画が使われたのだ。画家であったワルター・ルットマンがベルリンの都市の一日を描写した『伯林ー大都会交響楽』が、その金字塔である。交響楽というように映像のリズムに特徴があり、映像詩とも呼ばれている。他にカヴァルカンティ『時のほか何ものもなし』、ジャン・ヴィゴ『ニースについて』などがある。それらは、同時代のパリで流行していたアヴァンギャルド映画の流れにも位置づけられている。

  • ワルター・ルットマン『伯林ー大都会交響楽』ドイツ

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Berlin: Symphony of a Great City & Opus 1 [DVD] [Import]

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プロパガンダ映画

第二次世界大戦時になると、国民に国家イデオロギーを伝えるという目的に特化した、プロパガンダのためのドキュメンタリーが数多く制作された。最も有名なのが、ナチスドイツの党大会を記録したレニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』である。アメリカ軍のプロパガンダ映画には、フランク・キャプラの『われらはなぜ戦うか』シリーズがある。ただしその当時にも、プロパガンダの目的よりも強く作家性を醸し出す映画を制作したハンフリー・ジェニングス、ジョン・ヒューストン亀井文夫もいる。前述の『意志の勝利』もレニの美学を表現するために党大会を撮影したともいえるが、レニの美学とナチスの美学が重なり合うことで結果的にプロパガンダ映画として機能した。

意志の勝利 [DVD]

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ヒトラー伝説 (COSMIC MOOK)

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Triumph of the Will [DVD] [Import]

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参考資料

Documentary: A History of the Non-Fiction Film

Documentary: A History of the Non-Fiction Film

*1:ドキュメンタリーは事実に基づいた記録なのか、事実に基づくとはどういうことなのか、実際問題として事実に基づくことは可能なのかは、考察すべき問題であるがここでは深入りしない。